組織開発の実践と学習のコミュニティ

ODNJ研究会 オンラインフォーラム実施レポート

ODNJは、「情報発信」「自己研鑽」「交流」「普及・啓発」の4つを事業の柱として活動を行っています(https://www.odnj.org/about/four-pillars/#ank_subnav)。

「研究会」は、会員同士の学びあいや発信の機会を支援する「自己研鑽」の活動の一つとして、主にオンラインフォーラムの形式で最新のトピックや海外のトレンドなどの学びの機会を提供しています。

この度は、2025年5月~6月にかけて実施した「研究会フォーラムⅠ」と、9月に実施した「研究会フォーラムⅡ」の実施レポートをお届けします。

研究会フォーラムⅠ
ODプラクティショナー・トレーニングにおけるグローバルの実際

藤森亜紀子氏と土屋耕治氏のお二人から、それぞれが海外でご受講された組織開発実践者のためのトレーニングの体験と学びを、臨場感とともに共有いただきました。

お二人が受講されたプログラムの内容だけでなく、ご本人の体験を通じて語られる学びの過程は、参加者の皆さんにとっても刺激となったようです。
5月28日と6月11日の2回に分けて実施されました。

    第一夜 2025年5月28日(水) 19:00~21:00

    NTL・UKの「Global Organisation Development Certificate Programme」の報告会(藤森亜紀子氏)
    藤森氏からプログラムの体験と学びを共有していただきました。本フォーラムでは、プログラム全体像や、多国籍な参加者で構成された場であったこと、海外での組織開発実践者の育成の実際が共有されました。

    藤森氏からは、「ゲシュタルトの経験サイクル」の概念が紹介されるとともに、それに基づいて参加者やグループが未完了のプロセスを扱うようなプログラム設計となっていたこと、また、そうした視点の重要性が強調されました。

    また、海外の組織開発の実践は、近年日本で注目されてきたエンゲージメント・サーベイに関する活動に留まらず、経営改革やカルチャー創造といった、経営に近い文脈において実施されているという示唆がありました。参加者からは、経営者への介入の具体的なレベルや、日本での実践への活かし方について活発な質疑応答がなされました。

    今回のシェアを通じて、組織開発の実践が単なるスキルではなく、ユース・オブ・セルフ(Use of Self)とプロセス(Here & Now)を重視した、組織の変革に資する活動であることへの理解が深まりました。

    第二夜 2025年6月11日(水) 19:00~21:00

    UKタビストック人間関係研究所の「コンサルティングと変革における実践者コース (Practitioner Certificate in Consulting and Change、通称P3C) 」の報告会(土屋耕治氏)
    土屋耕治氏からタビストック人間関係研究所での体験と学びを共有していただきました。当日は、タビストック人間関係研究所や、実践者育成の実際、組織開発への関心を持つ参加者が集まりました。

    ODNJの海外パートナーシップ委員長でもある土屋氏からは、51ページものスライドが共有され、「濃密な体験」を惜しみなく共有していただきました。議論のテーマは多岐にわたりましたが、現在のタビストックにおけるビオンのグループ・アプローチの位置づけなどについて深く議論が行われました。また、組織開発を線形的に捉える考え方(アメリカ的)と、土屋氏が経験された非線形的なアプローチとの違いについても論点となりました。

    参加者からは、「生の体験を共有いただきありがとうございました」、「とても興味深い話が多く、あっという間の時間でした」 といった、学びの深さを感じさせるフィードバックが寄せられました。「今ここの関係に過去も未来も重なっている」という言葉が心に残ったという声もありました。

    研究会フォーラムⅡ
    グローバルを経て見えてきた日本企業の強み 日本のポジティブリーダーシップの企業実践事例と共に

    今期第2弾のODNJ研究会フォーラムを、2025年9月23日に開催しました。

    スピーカーの原田俊彦氏には、お住いのハワイからご登壇いただきました。モデレーターの廣瀬沙織氏とともに、原田氏がミシガン大学のキム・キャメロン氏から学んだ「ポジティブリーダーシップ」の理論と実践、グローバルの視点で捉えた日本企業の強みなどをお話いただきました。

    ポジティブリーダーシップの理解を深めるために、リーダーのポジティブエネルギー量が組織の成果に貢献することを示したデータや、人よりも多くのポジティブなエネルギーを持つリーダーは「大多数と同じになる心理的圧力」に抗い続ける必要があることなどが紹介されました。

    ポジティブリーダーシップの実践的な方法論として、ポジティブな会話とネガティブな会話の比率を5:1程度にすること、問いかけと主張の比率を1:1にすること、組織を明るくポジティブに変化させる「ポジティブエナジャイザー」の存在を見きわめる方法なども紹介され、原田氏と廣瀬氏によるロールプレイも行われました。
    海外企業が関心を寄せる日本企業の強みとしては、トヨタやキーエンスで見られる「ハイレベルで徹底」しようとする従業員の労働意識が挙げられました。椎茸商社である杉本商店のような中小企業でのポジティブリーダーシップの実践事例についても紹介されました。

    参加者からは、「理論的であり、実践的であり学びが大きかった」、「学術面と実践面、事例の高いバランスがインパクト強く響いた」との声が寄せられ、高い満足度(大半が6点/6点満点)を示しました。また、本イベントは未来を考えるエネルギーになったとの感想もありました。」

    「研究会」では、引き続き皆様への学びの機会を提供してまいります。次回の研究会フォーラムにも、ぜひご期待ください。

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