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(2016年次大会レポート)組織の感情風土に働きかけ、自ら変わる組織になるための智慧

大会企画 A-3

  • 組織の感情風土に働きかけ、自ら変わる組織になるための智慧 〜イノベーションは組織の内面から起きる!〜
    • 森川有理・佐藤扶由夫(株式会社ウェイクアップ)
    • 2016年7月30日(土) 10:45-12:00

2016年次大会「組織イノベーション」概要はこちらから。
プログラムの詳細はAdobe_PDF_file_icon_24x24年次大会パンフレット(PDF, 30MB)をご覧ください。

レポート

事前エントリー制ではないため、どのプログラムにどれだけの参加があるのかを登壇者、参加者双方が読めない中、組織の感情風土に働きかけ~の名称が響いたのかもとの登壇者コメントもあったが、20名分程度の椅子に対し60名を超える参加者で会場は大勢の立ち見で溢れた。急遽椅子の追加搬入が行われ、2重の車座となり、熱気を帯びての講演開始となった。

第一部は、内面からの変化による新たな価値の創造という定義にもとづく「革新を産み出す創造的な体質を持った組織」の必要性について説明が行われた。まずは、本日の参加者が組織イノベーションにどの程度興味をもっているか、日々の行動をどの程度行っているかが測られた。7~8割が関心・行動ともに、とても前のめりであることが判明。組織を内面・外面を横軸に、個人・集団を縦軸とする4象限で表すと、左下に当たる「集団の内面」は、多くの組織で手付かずとなり易く、着手しづらさもあってブラックボックス化してしまいがちである。ビジョンや組織風土、そして人間や組織間の関係性などが属する象限であるが、ここに着手することこそが、内面からの変化によるイノベーションにつながるとのことであった。

第2部ではベーリンガーインゲルハイム製薬株式会社の山崎社長により、買収後の工場の組織統合をシステム・コーチング®を介して図っていく事例を当時者の心情も含め共有いただいた。自らが買収側の一工場長から買収先の工場も含めて責任をもつ社長となったことが、どちらかの工場をつぶすのではなく、両工場ともにベンチマーク工場にするという視座の転換に繫がった。買収先の経営幹部に潰すための理由付けをしているのではないかと訝しがられながらも、システムの声をどのように明らかにし、それらにどうやって関わり、アクションにつなげていくかの挑戦を必死で行っていった。世界の50工場を13の戦略工場のみに削減していく中で、5倍速で変革を続けてきたものの買収先の工場がその選定から漏れてしまった。この危機があったからこそ、それを乗り越える上で、難しいとされていた製造工程の組み換えや一本化を実現し、結果日本の二つの工場が共に戦略工場として残る結果を成し遂げることができた。

科学者のバックグランドをもつ山崎社長によるとAとBを掛け合わせると必ずCとなる化学反応は安定しているのだとか。一方で人間は同じ反応とならないから面白いのであり、どんな化学反応を起こすか分からないところに楽しみがあるとのコメントとともに目頭には光るものがあった。そこでのコーチの役割は化学反応を取り持つ触媒であり、水と油を反応させる上でとても重要な役割を担っている。「速く行きたければ一人で行け、遠くへ行きたければみんなで行け」とのアフリカの格言がある。どこまで行けるか分からないが、山崎社長にとっては皆で歩むことが重要とのこと、より遠くへ行きたいから。

最後に日本人のリーダーが出来ることとは何なのか?を問い、ドイツでできなかったことを日本でやったら楽しそうだという山崎社長の「やってやろう魂」は、内部実践者にとって参考となる心持ちではないかと感じた。

レポート作成:池田臨(広報委員)

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