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(レポート)ポジティブ組織活性化・AI分科会 第1回会合

ポジティブ組織活性化・AI分科会の記念すべき第1回会合が、2013年1月30日(水)に開催されました。

前半は発起人である渡辺誠氏、西川耕平氏、香取一昭氏に、本分科会の趣旨説明をはじめ、ポジティブ組織変革の基本的な考え方について、世界的動向を交えながら解説して頂きました。

まず初めに、渡辺氏によって「日本の働く人がイキイキとやりがいを持って働けるような組織をつくりたい」という想いからこの分科会が発足されたという経緯が説明されました。その上で、今後の方向性として、組織にポジティブな変革を起こすことを目的に、科学的な学問とそれを組織で実践する際に役立つ「考え方」を学べる場にしていくことが確認・共有されました。

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次いで、香取氏から「ホールシステム・アプローチと組織開発」というテーマでご講演頂きました。ピーター・センゲが体系化した「学習する組織」を実現するための対話の手法がAIを含むホールシステム・アプローチであるという解釈が披露され、そのアプローチの特徴や組織開発における適用分野についてご紹介がありました。

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その後、西川氏からODという概念について、人と人との関係性があり、「もっと~してみませんか?」という向上心でもって働きかけていくプロセスがあれば、それはODであるという基本的認識の確認がありました。また、ODを発展させていくためには、理論に裏づけられた実践/実践に裏づけられた理論という好循環を引き起こしていくことが理想であるという旨のご説明があり、本分科会の一つの役割と可能性が提示されたように思います。

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前半部の最後は、渡辺氏によるポジティブ組織学の成果と世界的動向の紹介です。近年ではIPOD(Innovative Positive Organizational Scholarship)というAIを超える新しいモデルが模索されてきており、そこではAIを根底に据えつつ、「強み」「ポジティブ心理学」「ポジティブ組織学」「デザイン思考」「サステナビリティ」「社会構成主義」といったキーワードとの架橋・融合が進んでいるということが紹介されました。

3名によるお話はいずれも魅力的なものであり、本来であれば、お一方のテーマだけでも数回にわたる会合が成立するほどのものです。非常に限られた時間だったため、「もっと聞きたい」と思われていた参加者も多かったのではないかと推察します。とはいえ、これからの探究による学びへと参加者を誘い、知識欲・成長欲を触発してくれる時間だったように思います。

後半はポジティブ組織変革について学びたい内容/ポジティブ組織変革を学びたい理由について、参加者約50名が4~5名のグループを作り、それぞれの想いを対話でつなぐ機会が設けられました。各グループからの疑問を集約する機会も設けられ、例えば、「ポジティブな組織とはどのような組織?」「ポジティブって何?」「ドスのきいたポジティブもあるのでは?」「AIって何?何をすればAIをやったことになるの?」という「そもそも論」をはじめ、「優先すべきはWell-beingか?Performanceか?」「AIなどをどのように売り込めばいいのか?」「変わる気のない社長はどうすれば変わる?」などといった現実的な悩みまで多岐にわたるものが挙げられました。いくつかの疑問について西川氏と香取氏からコメントを頂き、今後、本分科会で扱っていくテーマのヒントが散りばめられていたように思います。

そして、最後のハイライトはAIの大家であるダイアナ・ホイットニーがSkypeで参加してくださり、ご本人からAIのポイントについてご説明がありました。私が最も印象的だった言葉は「AIは単に人々を幸せにするためのテクニックではなく、ポジティブな変革を起こすためのプロセスである」というものです。その含蓄は深く、ポジティブな問いが学びを生み出し、その学びが人々を変革に向かわせるという、人間や組織に対する厚い信頼がAIの根底に流れていることを発見できたように思います。他に、「人や組織のベストな状態(うまくいっていること)にフォーカスをおく、つまり、AIはうまくいっている時に何が起こっていることを見るものであること。」「AIのプラクティショナーやリーダーはAIの本質を知り、哲学を知ってほしい」という点も強調されていました。

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文責:緩利 誠(ODNJ会員)

追記

分科会発起人の渡辺さんのBlogにも記事があります。併せてご覧ください。

→ http://d.hatena.ne.jp/posipsy/20130201/1359731451

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