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(2016年次大会レポート)組織イノベーションを実現するためのシナリオプランニングの活用法と考慮点

公募企画 D-4

  • 組織イノベーションを実現するためのシナリオプランニングの活用法と考慮点
    • 新井宏征(株式会社スタイリッシュ・アイデア)
    • 2016年7月30日(土) 17:00-18:15

2016年次大会「組織イノベーション」概要はこちらから。
プログラムの詳細はAdobe_PDF_file_icon_24x24年次大会パンフレット(PDF, 30MB)をご覧ください。

レポート

シナリオプランニングとは5〜10年先の将来において起こり得る未来の可能性を複数描き、その結果を企業や個人におけるさまざまな課題の検討材料として活用する手法。つまり、外部環境を起点としています。また、今を前提とする「リニアな傾向予測」を抜け出し、日頃は予期していない偶発的な出来事(考えられない事)を考えるプロセスが必要となります。技術だけで組織は変わらない。組織の構成員のモノの見方(メンタルモデル)の変化が必要。

イノベーションとは「慣行軌道の乗換え。」イノベーションを短期と長期の2種類に分けて考えた場合、短期では課題発見と課題解決の、長期では蓄積した組織資源を強みに変えるプロセスが必要になります。そして、組織資源の蓄積には外部環境への対応が必須であり、そこに組織学習が大きく寄与する。

都市開発型関連企業向けプロジェクトでは、新社長から新たな会社の将来像を描く目的でシナリオプランニングを実行。このプロジェクトでメンバーから不満が続出した、「シナリオプランニングが良く分からない。」「どんな順番でやるの。」「この成果って何?」この原因は、演者が説明不足であったこと。事前の巻込み不足でメンバーに主体的に参加してもらえなかった。社長の思いが先行していた、参加メンバーの調整への関与が不足していて、人数が多く「なんで自分が?」というメンバーを生んでしまった。この学びを活かして次の順番でシナリオプランニングプロジェクトマネジメントを実行することにした。<(変革の準備:ステークホルダー分析_コアチーム結成)、1.診断:ヒアリング実施_事業システム分析_アジェンダテーマ設定、2.未来を描く:シナリオ作成、3.準備:戦略オプション分析_アクションプラン作成、(変革実施:組織への浸透)>

このシナリオプランニングは組織に次のプロセスで変容を齎す。<理解の変容:自分達を取り巻く環境に対して→関係の変容:シナリオ作成チームのメンバー同士→意図の変容:理解と関係が変り、何をすべきかという意図→行動の変容:理解、関係、意図があわさる>

例えば、グローバル企業であるシェル(オランダ)はグローバルシナリオを全社で共有していて、新しいプロジェクトでは、全てのシナリオの可能性を確認することが求められている。

現実的には「現状」と「斬新さ」のバランスが取れたシナリオが使われる。

シナリオはクライアントが創る不確実な未来を予測したモノ。ファシリテーターや講師として関与するシナリオプランナーのジレンマは、シナリオをクライアント自らが創り上げることが出来そうにない場合、答えっぽいコトを教えたくなるコト。この衝動には留意が必要です。

レポート作成:下村拓滋(広報委員)

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