登壇者:李炯植(リヒョンシギ)(特定非営利活動法人Teach For Japan Learning for All 事業部長)
日 時:8月31日(日) 11:00〜12:30
場 所:D502号室

講演内容

本発表では、ピーター.M.センゲの提唱する「学習する組織」の事例として、NPO法人Teach For Japanの「Learning for All」プログラムでの取り組みを紹介する。
学習する組織とは、個人の能力と気づきを高め続け、目的を達成する能力を効果的に伸ばし続ける組織である。2008年の世界金融危機、その後顕在化した多くの国家の財政危機、資源問題や食料問題、気候問題など世界は今ますます複雑化している。こうした複雑で変化の激しい時代においては、多様な関係者が真の対話を重ね、複雑な現実を見つめ未来のビジョンを共有することで、自ら創造し、再生し続ける組織が必要である。それを実現する組織こそが学習する組織である。
学習する組織の創出のためには、5つのディシプリンが不可欠である。すなわち、「メンタルモデル」「チーム学習」「システム思考」「パーソナルマスタリー」「共有ビジョン」である。学習する組織では、この5つのディシプリンを基に、個人学習・チーム学習・組織学習の3つの学習を駆動させ、最良の未来へと組織を導く。
この学習する組織の理論を設立当初より実践しているのが、 NPO法人Teach For Japanの「Learning for All(学習支援)プログラム」である。「Learning for All」は、教育格差の解消をミッションに、生活保護受給世帯等の低所得世帯の子どもを対象に学習支援事業を展開している。2010年より活動がスタートし、現在は全国で40プログラムを実施、年間1000名以上の子どもたちへ支援を届けている。優秀で熱意のある大学生を採用・選抜し、45時間におよぶ研修を施し、子どもたちへ学習支援をするプログラムである。発表においては、「Learning for All」が、どのように学習する組織を導入し、それがどのような効果を生んでいるのかについて、具体的なストーリーを報告する。

登壇者情報

教師として葛飾区での学習支援プログラムに参加後、2013年3月まで同地区にて現場責任者を務める。2013年2月より、学習支援事業(Learning for All)において、東京事業部プログラムの運営管理と中期事業計画の策定を担当、現在に至る。東京大学教育学部卒業。
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