登壇者:渡邊壽美子(株式会社 富士ゼロックス総合教育研究所 研究開発・コンサルティング部 開発グループ グループ長)
日 時:8月30日(土) 17:00〜18:30
場 所:D302号室

講演内容

近年企業の業績を左右する要因として、戦略の質とともに、戦略を実行する力にも注目が集まっている。富士ゼロックス総合教育研究所では、2011年より「戦略実行力」に注目し4年間調査研究を行ってきた。戦略の実行力を高めるうえで、コミュニケーションの質を高めることの重要性が、富士ゼロックス総合教育研究所の調査(人材開発白書2011年)で示唆されている※。
そこで、チーム(課)内外のコミュニケーションの質を高め、戦略実行を支援するための組織開発プログラム「戦略実行キャンプ&ミーティング」と「コミュニケーション診断」を研究開発中である。プログラムは、「ポジティブアプローチ」や「質問によるリーダーシップ」などの考え方を取り入れ、戦略実行のプロセスに合わせて、課長クラスのリーダ一シップ開発と職場でのコミュニケーション変革を同時進行させていくことを特徴としている。全体として組織内での「戦略の語られ方」を受動的なものから能動的なものへ、ネガティブからポジティブに変えていくことをねらっている。
課長クラスのマネジャー対象のキャンプは、事務機器メーカーの関連会社において2014年4月から9月までの半年間で合計4回実施する予定で進行中である。キャンプとキャンプの間に職場でのミーティングを開催し、職場のミーティングでは、マネジャー同士でペアになりミーティングオブザーブをしてもらった。

  1. Beingキャンプ&ミーティング(4月):計画を立てる前に、個人や組織の強みを再認識し、組織のありたい姿を検討する
  2. Planningキャンプ&ミーティング(5月):相互に期待を交換、目標の意義を再認識し、計画を見直す
  3. Doingキャンプ&ミーティング(7月):ポジティブな質問による、ポジティブな振り返りを行うことにより実行を促進する
  4. Seeingキャンプ&ミーティング(9月):実行過程を振り返り、次期戦略に反映するために継続することとやめることを提言することを通して学習を促進する

進行中の研究開発であり中間報告となるが、組織開発プログラムが戦略の実行力にどのような影響を与えていくのかについて、質問紙調査(コミュニケーション診断)、聞きとり調査などの結果をもとに考察する。
なお、本研究開発は、南山大学中村和彦教授、日本アクションラーニング協会清宮普美代氏、サクセスポイント渡辺誠氏にご協力をいただき進行している。

※2009年~2013年人材開発白書バックナンバーは全文無料ダウンロード閲覧が可能。
http://www.fxli.co.jp/co_creation/human_list/

登壇者情報

1993年(株)富士ゼロックス総合教育研究所に入社後、人材開発・組織開発に関する研究開発や、多数の企業のプロジェクトにコンサルタントとして参画。
マネジメント力・リーダーシップ開発のプログラム開発を主に担当。JIAL認定 シニアアクションラーニングコーチ。
共著『パフォーマンスを生みだすグローバルリーダーの条件』(2005年:白桃書房)。
共著『コンピテンシーとチーム・マネジメントの心理学』(2009年:朝倉書店)。
1993年お茶の水女子大学 文教育学部教育学科卒業、 2001年筑波大学大学院 経営・政策科学研究科システム科学専攻修了MBA。
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