活動

第5回勉強会 レポート

第5回勉強会は、今までで最大の人数の会となりました。

今回が初参加の方も多く、より多様性のある場の中で活発な対話が行なわれました。
少しの高揚感と、非常に新鮮な印象を持って帰途につきました。
お越しいただいた方には重ねて感謝いたします。

冒頭では、西川代表理事より改めてODネットワークジャパンの 目標について発信の後に、全員でチェックインを行ないました。

勉強会の話題提供として、 産業能率大学大学院総合マネジメント研究科長、教授の城戸康彰先生より、 「日本型組織開発の可能性と限界」というテーマで、 70年代から80年代終わりまでの日本における組織開発の実態を具体的な数字と事例を元にお話しいただきました。

日本型組織開発の実態についての要点は以下の3点になります。

  1. 集団中心・教育的・問題解決と思考方法学習・職場ぐるみ訓練という日本的な組織開発に組み替えられた
  2. 具体的にはQC活動や小集団活動が日本における組織開発の形態だった。
  3. それら活動は知識やスキル学習を超えて思考法を含む事、集団活性化の積み 重ねから組織の活性化をもたらした。

他方、限界に関しては、

  1. 個々の職場集団を開発し活性化するが組織全体も活性化するという前提にたっていた
  2. 職場での改善を継続しより完璧なシステムにすることが目指されていた

という当時の社会・時代背景が示されましたが、それを手がかりにして、
全員の対話による論点の提示とグループ別に踏み込んだ対話がはじまりました。

この対話を通じての印象は、 ピーター・センゲ達の学習し続ける組織(Learning Organization)の重要性です。

日本の高度経済成長期とバブル経済崩壊後しばらくは、
巧妙に工夫された組織機構を使った能力向上が日本の組織の適応戦略でした。

特に小集団活動に代表される日本的な価値規範の共有を強める組織行動は、精緻な意思決定機構を肥大することなく、 むしろ機敏で柔軟な意思決定を効率的にする事ができて、
世界第2位の経済規模に永らくとどまりました。

しかし今は「閉塞感」で表現されるように、 組織の適応方法を再検討する時期が来ているようです。

日本的な価値観を中核にした適応方法の強みが、逆に足かせとなっている事は、「失われた20年」ともなると明白ですが、次の方向が見えないため 「閉塞感」がより強調されるように思います。

そこで思い出されるのが、U理論で表現される、より深いレベルの「プレゼンス」です。
過去と安易な将来期待を捨てて、真剣に素直に状況と対面する不愉快な体験を通じて、自分に気がついて、より深い学習が始まるという段階 です。

持続学習を促進する条件は様々に主張されますが、 やはり組織開発の巨人のひとり、レビンの 「システムを理解したければ変えてみる事だ・・・」に集約されるのではないでしょうか。

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